LDK + 水回りを中心とした部分リノベーション
建築概要
リビングからダイニング・キッチンを見る.正面奥に壁付のキッチン、左手奥は3帖の和室.ダイニングの天井は既存の木の天井を活かし、間接照明の効果を加えた.
秋田県秋田市
木造 2階建の1階部分
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改修床面積 59.30㎡ (17.90坪)
秋田市の街中、交通量の多い通りからわずかに奥に入った敷地に建つ2階建て住宅の部分リノベーション事例です。
既存住宅は、延べ面積が約190㎡・55坪を超える小さくない住宅で、築35年ほど経過していました。築年数はある程度経過してましたが、この住宅は設計者が介在した住宅であり、各所は丁寧に造られたものでした。改修内容とコストのバランスを取るために、方針の決定には多くの時間を要し、検討や調整は細部にまで及びました。
基本的には、1階LDKと水回りを中心に、北側に追いやられたキッチンをDK化することと、間仕切りが多く居室以外に取られている面積を、居室として有効に活用する方針で設計を進めました。合わせて一部既存仕上げを残しながらもインテリアを一新し、「和」のテイストを残しつつ現代風のインテリアとしています。
断熱材・気密材は工事に伴い一旦撤去されて現代の性能を持つ新たなものへと取り替えられ、開口部もより高性能な断熱サッシに交換されました。また、トイレ・洗面脱衣室・浴室は、位置は既存とほぼ同一ですが、間仕切り位置などを細かく調整して機器も一新し、新しい水回りとなりました。その他、外観は変えずに外壁・屋根も実用に則した改修が加えられています。
既存のイメージを全て払拭し、全てを刷新するリノベーション手法がある一方で、外形には手を加えず、大まかなゾーニングを崩さず尚且つ愛着のある仕上げ材を効果的に活かし、それまで暮らしてきた「家」の記憶を継承する手法もまた、今後の大きな方向性の一つと考えています。
広がりの感じられない既存リビング.
左手奥に、北側に追いやられた既存キッチン.
既リビングと続きの6帖の和室.
既存キッチン.
解体中.黒ずんで見えるのが既存断熱材.
解体中の既存リビング.天井は残す.
タイル張りの既存浴室部には、土台の腐食が見られた.
既存構造体には必要な補強が施された.
既存の構造体の中に、必要な補強を施してく.
改修後も残された既存リビングの木の天井.
既存1階平面図.台所、居間、和室がそれぞれ独立して間仕切られ、全体の面積が活かされずに広がりが感じられない.
改修1階平面図.廊下や通路になっている部分の面積を居室として取り込んでいる.それにより、一体のLDKとなり、広がりと奥行きの感じられる空間となっている.
リビングから、ダイニング・キッチンを見通す.右手が南側.落ち着かないほどの大きな開口面積を調整し、光を取り入れつつ落ち着きのあるLDKとしている.
ダイニングからリビング方向を見る.玄関へのドアと、右手は水回りへつながる引き戸.改修故、撤去が困難な既存の柱は残す.
ダイニング.ローカウンターの向こうに壁付のキッチンがある.奥に3帖の和室.広くはないが、存在は大きい.和室の左手には、PC作業用などの造り付けデスク.調整された光が柔らかく差し込む.
和室前からキッチン方向を見る.東に向いたキッチンは隣家の緑を借景に取り込み、朝日の入る明るいキッチンになった.ダイニングの天井は既存の木の天井が残され、間接照明により効果的にライティングされている.
キッチンから和室方向を見る.引き戸は壁に沿って収納され、普段はオープンとしている.これにより視覚的な広がりと奥行き感を得ている.
玄関.天井と床は既存のままだが、天井のイメージがダイニングと繋がる.玄関扉とサッシは改修.
洗面脱衣室・浴室.洗面化粧台は、ツインのボウルが気に入っており、既存をリペアして再使用としている.
LDK コンセプト・イメージ -1
LDK コンセプト・イメージ -2
「自分の想いで家を建てる」という憧れを持ち続け、家族が残してくれた家をいよいよどうするかと考えた時に加藤さんとの出会いがありました。
偶然なことに、市内で見かけた新築の家を眺め「いつかこんな家を建てたい。」と憧れていた家が、実は加藤さんがデザインしたものだったと後から知りとても驚きました。
着工するまでに一年近くかかりましたが、その間、加藤さんには何度も自宅へ足を運んで頂き、いつも丁寧でかつ真摯な対応で打ち合わせをしてもらいました。本当に感謝しております。
当初は減築を願っており、中庭を作りたかった夢も、費用の問題から断念せざるを得ず、これに変わる新しい提案を加藤さんから頂き実現させてもらいました。設計図だけではイメージが沸かず、不安な気持ちをいつも後押ししてくださり心強かったです。
完成後、すっかり変わった我が家に感激感動の声が多数あり、リビングの開放感、自然光の取り入れ方、導線の良さ、照明や色調のセンスなど。そして何よりも、以前の面影を残した天井板と新規との調和が、懐かしさと新鮮さを見事に融合したと感じました。
通風においても、以前より自然の風が心地良いリビングとなり、今年の夏はエアコンの稼働も少なかったです。
自慢できる我が家を作ってくれた加藤さんに感謝しております。これから家作りを検討している人が居た時は、是非推薦したい建築士さんです。加藤さん、色々お世話になりました。ありがとうございました。