BIMによる豊かな自然環境に対応した家づくり
家庭内感染リスクの低減
スキップフロア等がある住宅
建築概要
西側道路の歩道から見る.敷地は、高い堤防の内側の道路のさらに下に位置する.
秋田県秋田市
木造 2階建
夫婦(将来は子供2人を想定)
146.93㎡ (44.36坪)
1. 豊かな自然環境に対応した家づくり 秋田の冬はとても厳しい。そして厳しさの反面、美しい四季と自然環境があり、街のすぐ近くにも豊かな景観が存在します。 住宅には必ず敷地があり、敷地にはそれぞれ独自の周辺環境が存在します。住宅を設計する際は必ず独自の周辺環境に着目し、それをどのように設計の拠り所にしていくか考えます。そこが設計のスタート地点であり、ほぼその後の設計内容を決定付けると言っても過言ではありません。 住宅は町並みを形成する一つの要素として、その外観は非常に大切なものと考えます。同時に、住宅の中から外部の環境がどのように見えるかもまた、そこで長い時間を過ごすことを考えれば、暮らしに及ぼす影響はとても大きいと言えるのではないでしょうか。
2. 雄物川を望む住宅 雄物川は秋田県を代表する河川の一つです。湯沢を水源として横手・大曲を流れ、秋田市新屋で日本海に注ぎ出る一級河川です。クライアントは釣りが趣味の一つです。釣りが生活の一部になり、川への景観が得られる敷地を新たに購入しました。川があり、堤防があり、その内側にはやや大きな道路があり、敷地はさらにその内側の下に位置します。仮に1階にLDK、2階に個室を設けても、場所的に川に近いというだけでロケーションの良さはまったく生かされず、川への眺望も目の前の道路との位置関係も、非常に微妙なものになると予想されました。 そこで、道路から見下ろされることを避けながら確実に川への眺望を得るために、2階にLDKを設け、さらにLDKの一部をスキップ状に1.2m持ち上げることでさまざまなメリットを得ることができると考えました。「上のリビング」と名付けたこの空間はダイニング・キッチンでもあり、堤防の上部から対岸や秋田大橋、さらに河口付近まで見渡すことが可能です。「上のリビング」から1.2m下には、「下のリビング」があります。「下のリビング」の外部には大きなルーフバルコニーがあり、ここからは川面は見えないものの、河口方面は見渡
3. BIMを取り入れた設計 Skip&Garageのプレゼンテーションや設計は、弊社として初めてほぼすべての過程でBIMを使用して実施しました。BIMとは、Building Information Modelingの略語で、これまでのPC上で作図するという概念から、PC内でバーチャルな建築をモデリングしていくイメージです。すなわち、PC化されたとは言え画面上に線を1本ずつ引いていくCAD製図から、PC内で立体をモデリングしていくBIMへのイノベーションと捉えることができます。 導入の目的としては、設計の効率化や各図面の整合性の確保などもあげられますが、バーチャルなモデルによるわかりやすいプレゼンテーションにより、施主とのイメージの違いを最小限にする事も大きな目的の一つと言えます。外観はもちろんのこと、任意の位置で切断線を入れて自由に内部を見たり、色彩やテクスチャの違いなどもその場で確認することが可能です。Skip&Garageでは初回のプレゼンテーションからBIMを使用し、モニターに写し出しながら内部空間や外観の説明をしていきました。 設計者としても、ルーフバルコニー~フロア~スキップで複雑になる構造部材の構成を立体的に確認でき、さらに、BIMデータと専用のアプリをタブレット端末に入れて現場に持ち出すことにより、その場で現場監督とも誤解のない打合せが可能になり、結果として高いクオリティを持った住宅を完成させることができたのではないかと思います
上のリビングからの景観。雄物川の河口まで一望できる.
上のリビングのキッチンから川を見る.
ホワイトで統一されたオープンキッチン.南側のスリット状の窓から陽が差し込み、明るさを確保する.
下のリビングから上のリビングを見る.右手の外部はルーフバルコニー.雄物川の花火の特等席になる.
下のリビングから上のリビング方向を見る。1.2mの段差のあるスキップフロア.
1階寝室.大きな開口部は設けず、間接照明の落ち着いた空間としている.
ルーフバルコニーの下部は、車2台分のガレージ.奥の扉から直接玄関につながる.
ガレージ.趣味のスペースにもなっている.
玄関ホール.正面には植栽のある坪庭.
階段と通路.奥に寝室と水回り.
玄関回り.玄関と隣接してシューズクローゼット.
シューズクローゼット.
ガレージ出入口のある西側ファサード.玄関は南側に回り込む.
真夏の一日.ルーフバルコニーから見る雄物川の花火.
上のリビングから見る雄物川の花火.
BIM(Building Information Modeling)によるモデリング.柱や梁などの構造部材もモデリングされ、構成や整合を確認する.
任意の位置に切断面を入れ、あらゆる角度からモデルの検証が可能.
モデルの部分的な切り出しも可能.